レンタカー劇的ビフォーアフター

アフリカナミビアウィンドフックブログ旅のテーマ自動車の旅  | 2012年01月09日投稿

2011年12月31日

今年も終わろうとしております。振り返ると色々ありましたが、まさか今年一番のイベントが年が終わる12月31日に起こるとは思っていませんでした。

ナミビアの首都、ウィントフックでレンタカーを借りたのは12月27日です。

こちらが問題の車、トヨタのカローラ

シーズン中のため値段は高く、1日で687ナミビアドル(約7000円)です。最初見た店のパンフレットでは2500円~5000円で借りれると踏んでいたので、管理人にとっては少し想定外の出費でした。

こちらナミビアの道路。

大きな道路以外はほとんどダートで、起伏に富んでいるため、車体が浮いてトラクションが抜けやすいため注意が必要です。

このように傾斜+カーブになっているところもあります。

下りのカーブはほとんどタイヤがグリップしないため、ほんの僅かな操作ミスやスピードの出しすぎで事故を引き起こします。

標識は100km制限ですが、見ての通り下は砂地、セダンなどではタイヤが埋まって車体の底を打ったり、想定外の事が起きます。

そして事故は起こりました。

後部座席で寝ていたため見ていませんでしたが、スピードの出しすぎと操作ミスが原因のようです。

なんということでしょう。

今まであんなに狭く息苦しかった車内が、割れた窓ガラスによって開放感あふれるオープンカーへと生まれ変わりました。

地面に飛び散ったガラス片

至る所にちぎれ飛んだパーツは匠の容赦なさを感じさせます

パンクしたタイヤはこれ以上の走行を不可能と認識させる絶望感を演出します

事故はなんてことない直線で起こりました。斜線の左側が僅かに低くなっており、タイヤが落ちた際に後輪がスライドし、その際に運転手が急ブレーキをかけたため、車体が横を向いてしまい、横を向きながら右側の道路脇に突っ込み、僅かな窪みをきっかけに横転しました。車体は1+1/4回転し、横向きに寝た状態で停止しました。

覚えているのは、車体が不自然に揺れた瞬間に目を覚まし、左手側の窓を見ると、車体が横に滑っている光景でした。それから車体がミキサー状態になって、一帯がガラスと砂まみれになって、どちらが上下かも分からない状態で止まりました。割れた窓ガラス越しに地面に着いた肘で体を支えて立ち上がると、運転席と助手席で2人が動けないままでいました。意識はあり、大丈夫とのことなので、とりあえず車を脱出することにしました。

頭上には後部座席右側の扉がありますが、車体が潰れているせいか重くて開きません。窓枠にこびり付いたガラスで手を切らないように指で剥がして、そこから外に這い出ました。

ちょうど車が通りかかるのが見えたため手を振って合図をすると、欧米人の観光客が駆けつけてくれました。運転席側の扉を持ち上げて開き、前部座席の2人を脱出させると、横転した車を全員で押して元に戻しました。

その時止まってくれた欧米人観光客がレンタカーショップに連絡し、トラックを手配してもらい、一旦荷物を前部外に出した状態が上の写真のものです。幸い助手席に乗っていた日本人が額に擦り傷を作ったぐらいで、全員ほぼ無傷でした。管理人も後部座席に乗っていましたが、シートベルトつけて寝ていたのでなんともなかった。

さらにその欧米人から、トラックを待っている間に飲む水までもらい、分かれました。2時間ほどでトラックは来ましたが、その間に心配して止まる車は7割以上、そのたびに「大丈夫」「トラックを待っています」と伝えた。車に残っているものは空にして、トラックに乗って近くの町のロッジまで行きました。

ロッジ

レンタカー会社が新しい車を持ってきてくれるとのことで、いつになるか分からないのでとりあえずここに泊まることになるとのこと。どうせやることもないので泳いだり昼寝していた。

5時ぐらいに新しい車が届いた。助手席に乗っていた日本人は短期旅行のため日程に時間がないため、すぐにウィントフックに出発することにした。今日中にウィントフックに行ける見込みもバスもないため、ヒッチハイクで行くつもりで表で待ち続けていたけど、結局新しいレンタカーが先に来たため、彼にとって不幸中の幸いでした。

そしてそのまま出発、泳いだ後、表に干していた水着を忘れたのが痛い。

事故を起こした運転手はもちろん、助手席に乗っていた日本人も昼間ヒッチハイクで疲れているみたいなので、帰りはほとんど管理人が運転した。

帰りの道

大きな地図で見る

予想以上にハードだった

川だらけ

アップダウンも激しい

こことか本当にスタックしそうだった

セダンのバンパーぐらいまで水で埋まる深さ、底はぬかるでいて、タイヤが滑りまくってたけど強引に抜けた。止まったり躊躇したら間違いなくスタックしてた。

走行2時間で日の入りです

新しい車の唯一の写真、燃費はカローラより7割ぐらい良かった。

日が沈んでから間もなく、なんとかコンクリート道に出て、無事にウィントフックに到着しました。

保険がいくら降りるかはまだこの時点では分からないため、ドライバーはそれどころではなかったでしたが、無事に新年を迎えることができました。

12時過ぎた時に打ち上げられた花火

やっぱ一眼レフ欲しい

後日

レンタルした際に保険に入っていたため、車両の負担は僅か24万円程度で済みました。それに新しいレンタカー輸送分のガス代、トラック代、レッカー代で合わせて40万円ほど。車体はほぼ全損しており、下手したらシャーシも歪んでいる状態だったため、むしろ安いぐらいでした。

一番心配だったのは、デポジットのカード名義が管理人のもので、事故ったドライバーがクレジットカードを持ち歩いていないことでした。幸い現金があったため事なきを得ました。

色々ありましたが、ナミビアを含めてアフリカでのレンタカーシェアはとにかくリスクが大きい。レンタカー会社の人に聞いても、日本人が事故を起こす確率はかなり高いらしい。そうは言っても、現地で知り合った仲間と協力しながら旅をするのはすばらしい経験です。それにトラブルがなければツアーよりも遥かに安く済みます。レンタカーではないと行けない場所、見れない景色も数多くあるため、チャンスがあったら躊躇はしないでほしい。

今回の経験から、アフリカでレンタカーを借りる際の注意を箇条書きですが残しておきます。

===========================
<借りる際の注意点>
1.レンタカー会社の保険には必ず入る
2.ドライバー追加料金は必ず払う
3.国際免許を持たない者、保険が適応されない第三者には絶対運転をさせないこと
4.ネジが抜けてそうな奴には運転させないこと
5.追加するドライバーが①クレジットカードを持っている事②旅行保険に入っている事を必ず確認すること。ない場合は運転を断るか控えてもらう。

4は今まで気にしたことがないけど、盲点でした。事故を起こしたドライバーが金額を負担できない場合は、別の人が立て替えることになり、金銭トラブルの原因になります。

<アフリカ運転の注意点>
1.無謀な計画、切迫した計画は立てないこと
2.なるべく整備された大きな通りを選んで走ること
3.まめに交代し、運転していない者はしっかり休むこと
4.交通ルールは把握した上で遵守すること
5.夜間は運転しないこと
6.全員にシートベルトを締めさせること
7.疲労、集中力切れ、眠気を感じたらすぐに交代するか休憩すること

死ぬのはいつも後部座席からです。今回たまたま管理人が後ろに座っていて、たまたま管理人はシートベルトを締めるよう口をすっぱくする父親を持っていて、たまたまそれを守っていて無傷で済んだけど、つくづく重要性を感じた。バイクのヘルメットを被るか被らないかぐらいの違いはあると思う。近年日本は後部座席でもシートベルトを締めないといけないけど、海外に行っても締めたほうがいいです。

<ダート、不整路の走行について>
日本ではないような道ばかりです。レース経験者や普段海外で運転しているような者でもない限り、日本で何十年運転していようと、いざと言う時には対処できません。スピード制限が何kmであろうと、周りの運転手がいくら速度を出していようと、なにが起きても対処できるスピードで走行する必要があります。ダートでもアクセルを踏めばスピードは簡単に出せますが、その速度で目の前のわだちを踏んだらどれだけ車体が弾み、非常時にどれぐらいの距離で止まれるかを把握しており、それを正確に実行できるドライバーは少ないかと思います。実際にダートでブレーキをかけてもコンクリートを走っている時の倍近い制動距離を必要としますし、慣れてもいないのにそんなことしたらほぼ確実にスピンさせます。

はっきり言って、日本人のドライバーは運転が下手糞です。普段からアフリカの道を走っている欧米系や現地人に比べたら雲泥の差があります。近年物価が上がって運転経験者が減っているというのもあるかもしれませんがそう感じます。実際にレンタカー会社のスタッフに聞いた話によると、中国日本韓国系のドライバーの事故は他の外国人に比べて多いとのことです。確かに狭い道を走るのは日本人は得意かもしれませんが、全くジャンルの違う運転だということを認識しする必要があります。

最も一番大事なことは、運転する際に同乗者の命を背負っているという認識だと思います。今回の事故が起きたのもそうですが、そういった認識が薄いのを感じた。確かに貴重な旅行の時間は大事で、様々な要因で計画通りに進まないこともあるし、ちょっとしたことでイラついて運転が荒くなってしまうこともあるかもしれないけど、そんなこと知らねえ。そんなことで感情を左右され、運転に影響が出るような人は運転しない方が良いし、周りは迷惑だ。遅れた分を運転で取り戻すなんて考えは論外です。

ここまでは具体的な内容のない精神論になってしまいますが、最も安全で確実に走れる方法はとにかくスピードを落とすことです。荒れている路面が見えた時、丘の天辺、先に何があるか分からない窪みの手前、対向車の砂埃に巻かれた時、何が起きても止まれる速度で走ることです。ダートで車がどれぐらいの速度で止まれるか把握したい時は、同乗者に声をかけた上で、安全な場所で急制動の練習をしてもいいです。

<それでも事故が起きた場合>
まずは同乗者の無事を確認します。二次災害を防ぐため、車両が安全な場所にあるか確認した上で、必要なら移動させます。安全を確認できた上で怪我人を降ろし、必要ならレスキューを呼びつつ応急手当をしてください。それから警察、レンタカー会社に連絡をして支持を仰ぎます。

基本やることは日本と変わりません。

旅行保険に入っている場合は、ポリスレポートと修理代の請求書かもしくは領収書を取っておきましょう。怪我人が出てしまった場合は、連絡先を交換した上で、治療費については当然運転手が払うわけですが、この場合旅行保険に入っていない場合は運転手が負担できない可能性があるわけなので、先程も言ったようにドライバーが旅行保険に入っているか確認する必要があります。

===========================

淡々と書いてしまいましたが、本音は、全員無事で、事故処理の金額も予想よりずっと低く、残りの2人の日程に影響が出ることなく、気持ち良く別れることができたことが本当に良かったです。こんな事故があったって、ナミビアをレンタカーで回ったという思い出は変わらないです。それでもって数日経った今ではこの事故は自分の中では思い出話です。「ザザーっと行って、ガシャンと転倒して、気付いたら車が横になっていたんだ」なんて宿泊客と笑い話にしているぐらいです。

ウネウネと色々と長くなりましたが、レンタカーの話は以上です。これから6日にバスでジンバブエのビクトリアフォールズに向かう予定です。

それでは遅くなりましたが、改めてあけましておめでとうございます。

関連記事:

  1. 山と砂と海とオットセイ

コメント

コメント(3) to “レンタカー劇的ビフォーアフター”

  1. ヨシオカ

    大変やったな~。
    とりあえず無事でよかったね。

    ダートは昔何度か走ったことがあるけど、穴とかが急にあったりして
    マジ怖いね。

  2. おかもと

    そんなことが⁉
    ほんとに無事でよかったよ!
    シートベルトすごいんだね。

  3. admin

    シートベルトは大事ですよー。痛感しました。

    この直前に別の日本人グループも2組いましたが、1組はスピンして、もう1組はなんらかの事故を起こしているみたいです。

コメントする